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イタリアの華、ルネッサンスへの旅

2011年02月17日 10:46

イタリアという言葉から連想するものは何ですか?
ローマ(帝国)やイタリア料理も勿論ですが、ルネッサンスもまたイタリアについて語るうえでの重要なキーワードですね。かつて、学校の歴史の授業で教わった時には、はっきりと言ってあまりぴんときませんでした。その意味とか味わいが。
大人になってこそ解るというか、古代ギリシャ・ローマからの復興というその意味が、芸術面や政治というか物事の見方という点でなるほどと頷けるようになるには、いささかの時間を要しました。教科書的な理屈よりも、それなりに見聞きするものからの実感の方が大きいことってありますから。
その点、世の中での出来事を自分自身に関わる事柄として、実感をもって受け止めるようになってこそ、古代の民主主義やそこから表出される文学や彫刻などの繋がり、その意味するところも理解出来ようというものです。旅行好きであるとともに、その旅行先の歴史に興味も持てば、それが旅の中での発見や感動をより一層強いものにしてくれるのも、こうしてみると当たり前なのですが、それには普段から触れるものといものも必要です。

今回の旅行に当たって、芸術の面でその役割を大いに果たしてくれた本があります。
それは、とある時、とある本屋で目にして、かみさんが買ってきた「宮下孝晴の徹底イタリア芸術案内」です。その後もお変わりなければ金沢大学の教育学部教授である宮下先生が、かつての書籍に更に多くの都市を加え、第一巻が2008年発行の全5巻。珠玉のイタリア諸都市について、その都市の成り立ち・歴史からはじまり、宮殿や教会等の見所について、そこにある壁画や天井画、絵画に彫刻そして室内装飾など、美術的な観点を中心に細かに解説してくれています。
写真あり、図説ありで見ているだけでも楽しくなりますが、絵画等の技法についての解説もあるので、なるほどと頷ける内容でもあります。何よりも嬉しいのは、街のMAPがあるうえに、1日目、2日目と旅行形式で見所を巡る構成なので、そのまま旅行している気分で読み進み、あれよあれよという間に完読してしまいます。
実際にその順番通りに回るわけではなくとも、なんとなくの時間配分が、見所迄そしてそこでの所要時間などで描くことが出来ます。是非とも見たいか、時間があれば程度かも想定出来て、旅行の計画を練るうえで大いに参考ともなりました
でも、何よりも大きかったのは、イタリアの諸都市とそこにある素晴らしい建物や芸術品への想いをかき立てられたことでした。

イタリア旅行のバイブル

↑イタリア旅行ではバイブルと化した宮下先生の本。旅行中も、毎晩、次の日に行く街のところを読み返していました。すると眠くなってしまうのですが.....(顔消ししましたが、なんだか怖いというか、ケダモノのようというか。うーん、ポピー・ザ・パフォーマーを久しぶりで見たくなる)

しかし、基本的な旅行計画を組むうえでの悩みは、むしろ増えたとも言えました。何しろ、魅力的な街が多過ぎる
全5巻は、北イタリアの3巻と南イタリアの2巻というものです。はっきりと南北には分かれていて、南はローマ時代や中世のノルマンやスペイン等の外国勢力の支配下にあった時代に関するものも多いと、はっきりとした特徴がありました。
が、北イタリアと一口に言っても、3巻で36都市を網羅しています。とても一度の旅行では無理。で、結論はやはりイタリアは北・中部そして南と、少なくとも3回に分けて行かないと。その時点で3回も行けるという確信があったわけではありませんが、少しは己を知っていました、時間がかかる旅人と(それに更なる拍車をかけるのがイタリアとは、さすがにこの時点では気付いていませんでしたが)。
この全5巻ですが、第一巻はヴェネツィアとミラノの2都市のみ。それはそうだろうと特にヴェネツィアについては強く頷きましたが、それ以外の街にしても、ちょこっと立ち寄ってというには惜し過ぎる所が多々あって。

では何故に中部を選んだか?
それには、見たいものを選んでいったらというのが一番の理由であり、ルネッサンスと言えばのフィレンツェの存在も大きかったのですが、もう一つの大きな理由は移動手段。
イタリアは山がちと言われますが、北部はポー川を中心とした平野部もあってそうでもない。それは鉄道網の点に大きく現れています。北部は主要都市が鉄道で結ばれていて、これなら歳をとってからでも、そうレンタカーでなくとも回れるね、となったのです。
逆に、最も山がちなのが中部イタリア。歴史好きというか、戦史をひもとくのが好きな人なら、あの第二次世界大戦でドイツがゴシックライン等を引いて、イタリアで見事な防衛戦を、遅滞戦術を繰り広げたのはご存知なのでは。そうです、山が連なる地形だからこそ出来た戦術で、山の中の限られた道を塞いでしまえば、少数でも数で勝る連合軍に対抗出来たわけです。
と、話は横道に逸れてしまいましたが、山がちな地形故に鉄道路線が限られる。結構な観光名所も鉄道とは無縁だったりしますし、山越えの鉄道ルートが無ければ遠回りともなり、効率的には回れない。
その点、車なら。イタリアは魅力的ですが、他にも言ってみたい所があるわけで、だから次のイタリアはいつ?となります。ならば、車で回り易い今のうちという選択。
この旅行で行った街で、皆さんもきっとご存知の、旅行雑誌にもよく出て来るところ、例えばサンジミニャーニョやアッシジなども電車では行けませんから。また、鉄道で行けたとしても、運行本数が極めて少なかったりする。時間がたっぷりあれば別ですがとなると、現役世代としてはちょっと考えてしまう訳で、レンタカーの旅としては中部を選択することとなった次第です。

イタリアの田舎道

↑なにしろ田舎好きなもので、このような何気ない風景にもそそられます。小さな街というか村の傍を通り過ぎる時、丘の上の城館を囲むその姿に惹かれたりします。今はまだそうも出来ずにあちらこちらと計画通りに回っていますが、いずれは予定を決めない気侭な旅で、ぶらっと寄った街や村に一泊なんてしてみたいものです。

ということで、中部を旅する、そしてその際の筆頭に上がった2都市、ヴェネツィアとフィレンツェを結ぶ旅という骨格が出来上がりました。そこには、ルネッサンスという共通項目が貫くということもありましたが、また、航空便の都合も。
いつものお気に入り、行きは夜行のエール・フランスで、パリからの行き帰り共に1便利用可能なプラン。フライトの設定に適当なのが見つかったこともありますが、いずれも空港が街から近い。世界的にも知られた都市であっても、30分程度で空港まで行ける、これもまたイタリアの魅力と言えましょう。それが、現代でも地方が栄え、花咲く、そしてそこに連なるイタリアの歴史の産物なのだと思います。


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