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デュルビュイ ~美食溢れる世界一小さな街~

2009年09月10日 20:37

「ベルギーって美味しいよ」と銘打っての旅行記ですが、その中でも今回のデュルビュイはひとつのハイライトになる街です。

曰く、世界中の食通、憧れの地。
人口わずか500人。アルデンヌの森林地帯の中、華麗なシャトーを抱いてウルト川の畔に佇む、ワロン地方の美しい田舎町。
私達が思い描いたイメージは、自然に囲まれたこじんまりとした街。ほっとする雰囲気ながら、洗練された美食が供されるだけあって、ただの鄙びた田舎町というだけではない風情。

デュルビュイのシャトー

↑こんなお城の写真から、ごった返す人波は想像出来ませんよね。それにしても、これが個人の持ち物とは

ですが、デュルビュイに着いてその街を眺めた時、まず驚かされたのは溢れんばかりの人の波です。広場は街を貫く通りから一段下りた所ですが、その回りを取り囲む数多くのレストランと、その席を埋め尽くす大勢の人達に、一体ここは何処かと思わされます。
まるでブリュッセルやアントワープといった大都会。いやそれ以上とさえ感じます。
これがまた、前日と同様に日差しが強く、人波と供に一気に疲れを覚えました。そのうえ、右を向いても左を見ても、建ち並ぶレストランの店内もテラス席も、料理とビールを味わい尽くそうという熱気で満ちあふれています。これでは、暑さも一段と強く感じられようというものです。

広場を外れ、狭い通りへと入って行きますと、そこはそぞろ歩く人達という程度でほっとします。
そして、美味しい食事を求めて大勢の観光客が訪れるだけに、しゃれたお店が目に付きます。
その多くは、地元の自然が齎してくれた食品や、草花を活かした香水とか、考えてみれば日本でもその手の観光地に行くとよくあるものです。しかし、石造りの建物がきれいに建ち並び、それにマッチしたお店の装飾ですと、しっくりとして落ち着いたものが感じられ、それが気持ちを和ませてくれます。
中には本当にいい感じのお店もあります。芸術的な工芸品作りの人が田舎に居を求め、創作の場とすることなど、テレビ番組で目にすることもありますが、実際にそんな人の店に出会えました。
如何にも手作りという品物には、そこに込められた作り手の想いが感じられます。独り住まいで、もくもくと製作にいそしむ。それは、私達の普段の生活からはとても縁遠いものがあります。きっと、そのような日常から湧き出て来るものが、その人独自の作品に投影しているのだと思いました。

一旦、ホテルに戻った私達は少しだけおしゃれな恰好に着替えます。というのも、この美食の街にあって、その代名詞とも言えるレストランの予約を取ってあったからです。
そのレストランの名前は、ル・サングリエ・デ・ザルデンヌ(アルデンヌのイノシシ亭)です。
私は、ベルギーを美食の国として紹介するある本で、このレストランのことを知りました。その本には勿論のことですが、他にも幾つものレストランが紹介されていました。
その中でも特にこのイノシシ亭に惹かれたのは、田舎町にあってなお注目を浴びているというのが何よりでしたが、それと同時に料金がリーズナブルに感じられたこともありました。
かなり人気のレストランですから、その時点でおよそ1ケ月前ということで、予約が取れるかどうか気を揉みました。結果的には希望の日時であっさりとOKでしたが、ヨーロッパの観光シーズンからは外れていたからであって、時期によってはかなり早目に予約を入れた方が良いように思われます。

夜7時といっても、まだまだ明るいわけですが、ディナーへと心は弾みます。
旅行中は歩き回るのでそれに適した靴を履いていますが、ちょっとおめかしでヒールのある靴にしたかみさんは、石畳の道にいささか手こずります。だって、石と石の間にヒールが挟まったりするもので。
まあ、ホテルからは歩いて10分もかからない距離でしたから、大問題ではありません。
うきうきとした気分を保って到着すると、早速に第一の選択です。
「お食事の前に何かお飲みになりますか?」
今晩はとことん楽しむぞと決めていましたし、このような時はダンディーにいきたいもので、
「それでは何かいただきましょうか」
と言うと、レストランの建物の中に入っての食事に対し、食前酒は外のテラスでということで、目の前のテラス席を勧められます。そして出される食前酒のメニュー。
イノシシ亭については、ワインもまた素晴らしいと本で読んでいたこともあり、ごく普通ですがシャンパンを頼みました。9ユーロは結構するな、でもいいのが出るんだろうと思いつつ。
結果は期待以上でした。単にシャンパンが出てくるだけではなく、軽くつまめるものの3種盛り合わせが付いてきました。それ自体が上質の前菜と言ってもいいような一品です。

イノシシ亭のスタート

↑最初からやってくれるねと嬉しくなる3種。手前のサイコロ状のものはサーモンです。

それを味わう間に、今度は食事のメニューが差し出され、第二の選択となります。いつも思う事なのですが、ヨーロッパのレストランで出される料理の種類は決してそう多くありません。素材や料理法などにこだわればこそ、何でも屋のようには出来ないものなのでしょう。選択肢が狭いと思われる方もあるかもしれませんが、それだけ良いものをいただけるものと私達は受け止めています。
それにしても、アラカルトで選ぶのは量の加減も難しいので、ここはお勧めのコースにします。
「Menu Gastronomique」となっていて、いわば季節の美食料理ということのようでしたが、前菜からはじまって、魚料理と肉料理そしてデザートと一通り味わえます。おそらく一品づつの量も適度なものを考えてくれている筈で、自らの胃の大きさを考えると、私達、特に義母には最適と思いました。
食前酒を終えると、いよいよ席に案内されます。それが、面白かったのは、そんな事は初めてでしたが、厨房を通って席へと導かれたことでした。すっと通り過ぎるだけながら、有名レストランの現場を見ることが出来るなんて、そうはない体験でしょう。それに、日本人のシェフが居て声を掛けてくれたものですから、更に気分が高揚しました。
席に着くと第三の選択の時、ワイン選びです。これがまた、随分と分厚いワインリストで、正直言って何を基準に選んだものやら、いささか面食らいます。何しろワインは全部で1万5千本が地下のカーヴに眠っているらしいので、相当に種類も豊富です。
今晩は本格的なフランス料理ということで、フランスのワインとし、あまり重くなさそうで手頃な値段のものを選びました。それにしても、ダンディーを貫き通すのは大変です。かみさんもその辺は解ってくれているでしょうが、そうであればこそ、その手前も、回りから見て恥ずかくないように振る舞っておかないと。そう、悩んでいるのではなく、慎重に選んでいるのですよ、あくまでも。
料理はどれも勿論のことですがとても素晴らしく、フレンチといっても味・量ともに重くなかったのが何よりでした。それと、日本の素材が幾つも使われていたり、それまでにない取り合わせに出会うなどがあり、料理人というのも漫然としてはいないのだなと感心させられました。
一皿づつ出て来るスタイルですと、食事の時間はかなり長くなります。でも、それが長く感じられないようであれば、それだけ美味しくて楽しい食事と言えます。この時が正しくそうでした。

イノシシ亭の魚料理

↑焼蟹ってなんだか日本を感じますが、ソースに日本の素材が使われてもいて、本当に日本的

イノシシ亭の肉料理

↑羊は結構くせがあって臭かったりしますが、当然ながらそんなことはなく美味!!

食事が終わると、
「何か食後のお飲物は?」
となりますが、場所はこのままの席か、それともサロンに行きますか?とも聞かれます。いわば第四の選択です。
私達はサロンへ行きましたが、これはお勧めです。絵画やアンティークの家具に囲まれて、ゆったりとしたソファーでというサロンは、食後の一時に正にふさわしいものがあります。
どうやらレストラン併営のホテルに泊まっているらしい大家族が、隣で食後の団欒を楽しんでいました。皆、心からここでの食事と滞在を楽しんでいる雰囲気がありありと伝わってきます。私達も至福の一時を過ごしましたが、回り中が笑顔で一杯というのは実にいいものです。
料金は以下の通りでしたが、たまの贅沢として、値段以上のものがあったかと思います。
 Menu Gastronomique(コース料理)     165.00
 Coupe de Champagne(食前酒のシャンパン  27.00
 Daux(ミネラルウォーター)           6.00
 Divers Vins(ワイン)             60.00
 Cafes & Thes(コーヒー・紅茶)        7.50     合計 EUR265.50
     以上、3人前の税・サービス料込み
美食家憧れのレストランなどというと、一人当たり何万円もするかと考えるのがむしろ一般的なのではないでしょうか。それからすれば、この料金なら、最初にリーズナブルだと感じたのは正しかったと言えましょう。
それに、ベルギーのデュルビュイに行くことが、そうそうあるとは思えませんから。こんな時くらいはね、ということで、お腹も心も満タンでレストランを後にした私達でした。
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